近年人気急上昇中の総合格闘技(MMA)ですが、MMAとは何なのか、イマイチ分からない方は少なくありません。
今回はそのような方に向けてMMAのあれこれを徹底解説します。
✔️本記事の内容
MMAとは
MMAの主要団体
MMAのルール
MMAの視聴方法
MMAはリング?ケージ?
MMAで疑問に思うこと4選
本記事を読むことで、MMAという競技について詳しく理解することができます。
総合格闘技[MMA]とは
総合格闘技[MMA]は英語でMixed Martial Artsと呼ばれる、打撃・組技・極め技などの様々な技術を駆使して勝敗を決める格闘技です。
ボクシングやキックボクシング、レスリングやブラジリアン柔術などの様々な武道や格闘技の技術を掛け合わせ、規定されたルール内であれば何でもありの、喧嘩に近い格闘技と言われています。
一般的には打撃(ボクシング・キックボクシング…)を主体とする「ストライカー」・組技(レスリング・ブラジリアン柔術…)を主体とする「グラップラー」・それらを掛け合わせた「オールラウンダー」と呼ばれるファイトスタイルがあります。
何でもありの総合格闘技ですが、ボクシングやブラジリアン柔術など、様々な格闘技を極めたスペシャリストが格闘技人生の終点としてやってくる場合があり、打撃や寝技どちらかに振り切った選手もいます。
MMAの主要団体
総合格闘技[MMA]には様々な団体があり、MMAの試合に出場するためには、それらの団体に所属する必要があります。
以下は国内のMMA主要団体です。
RIZIN
国内で最も有名な総合格闘技(エンタメ)団体はRIZINです。
総合格闘技だけでなく、キックボクシングやボクシングエキシビションマッチなどが行われています。
RIZINは各団体のチャンピオンや話題性のある選手が集まり、さいたまスーパーアリーナを中心に、数万人規模の会場で試合をします。
実力はもちろん、知名度や話題性を含め、国内の全ての格闘技団体で最も規模が大きな団体です。
待遇や演出も高水準にあるため、国内選手だけでなく様々な海外選手がRIZINで試合を望んでいます。
代表選手
朝倉未来 朝倉海 堀口恭司 RENA
修斗
修斗は1984年に初代タイガーマスクである佐山聡によって創設された団体です。
日本最古の総合格闘技団体で、MMA・グラップリングの試合が行われています。
アマチュアの大会であるアマチュア修斗で実績を残すことで、修斗のケージに上がることができまず。
寝技の攻防を得意とするグラップラーが他団体と比べると多くなっています。
代表選手
堀口恭司 斎藤裕 平良達郎 扇久保博正
パンクラス
パンクラスは1993年に設立された総合格闘技団体です。
打撃を主体とする選手が多く、一発で試合が大きく動く展開や迫力のある試合を堪能できます。
アマチュアの試合も定期的に開催されています。
代表選手
石渡 伸太郎 アキラ ISAO
DEEP
DEEPは2001年に設立された総合格闘技団体です。
本格的なカードから話題性のあるカードまで様々な試合が組まれています。
アマチュアMMAの最高峰であるDEEPフューチャーキングトーナメントや女子選手のみのDEEP JWELSなど様々な選手の活躍の場となっています。
代表選手
牛久 絢太郎 元谷友貴 伊澤星花
これらの団体以外にも、MMA団体は複数あります。
以下の記事にて国内のMMA団体や世界との差についても解説しました。
【2024年版】国内の総合格闘技団体まとめ|ランキングや世界との差まで解説
MMAのルール
多くのMMA団体では日本MMA審判機構が定めたユニファイドルールで試合を行います。
各団体毎に若干のルールの違いがありますが、基本的にユニファイドルールを理解しておけば大丈夫です。
以下よりユニファイドルールについて説明します。
試合時間・ラウンド数
5分3R (タイトルマッチのみ5分5R)
インターバルは各ラウンド1分
グローブ
オープンフィンガーグローブ(4〜6オンス)
MMAにおすすめのオープンフィンガーグローブはこちらの記事にまとめました。
【2024年版】オープンフィンガーグローブの選び方とおすすめ11選
勝敗(フィニッシュ)
KO勝利:打撃によって対戦相手を失神させた場合
TKO勝利:負傷や戦意喪失によりレフェリーが試合続行が不可能だと判断した場合・セコンドがタオルを投げ込んだ場合
サブミッション(1本勝ち):絞め技や関節技でタップ・失神をした場合
勝敗(判定)
ユニファイドルールでは各ラウンドごとに点数をつける「ラウンドマスト」が適用されます。
3人、又は5人の審判が1Rごとに優劣をつけ、ダメージやアグレッシブで試合をコントロールしていた選手に10点をつけ、もう片方の選手に9点又は8点をつけます。
それらをトータルしてポイントの高い選手が勝利となります。
引き分けがないルールでは必ずどちらかに優劣を付ける必要があるので、審判によってはジャッジのポイントが異なる場合があります。
また、以下は判定勝利の際によく使われている用語です。
「ユナニマスデシジョン」:審判全員が片方の選手に票を入れた場合。(3-0・5-0)
「スプリットデシジョン」:審判の票が割れた場合。(2-1・3-2…)
「マジョリティ・デシジョン」:大多数の審判が票を入れた場合。(2-0・4-0…)
※審判が3人の場合、片方の選手に2票以上入らない時はドローになります。
(1-0・1-1・0-0)
MMAの階級
MMAの階級は基本的に「日本MMA審判機構」に定められた規定に従って決められます。
主要団体ですと、RIZINのみ若干規定体重が異なりますので、「日本MMA審判機構」とRIZINの階級をご紹介します。
日本MMA審判機構
国内の主要団体ですと、「DEEP」や「修斗」「パンクラス」はこちらの規定に従っています。
アトム級:105 lb (47.6 kg)
ストロー級:115 lb (52.2 kg)
フライ級:125 lb (56.7 kg)
バンタム級 :135 lb (61.2 kg)
フェザー級:145 lb (65.8 kg)
ライト級:155 lb (70.3 kg)
スーパーライト級:165lb(74.8kg)
ウェルター級:170 lb (77.1 kg)
スーパーウェルター級:175lb(79.4kg)
ミドル級:185 lb (83.9 kg)
スーパーミドル級:195lb(88.5kg)
ライトヘビー級:205 lb (93.0 kg)
クルーザー級:225lb(102.1kg)
ヘビー級:265 lb (120.2 kg)
スーパーヘビー級:265 lb (120.2 kg)以上
RIZIN
RIZINでは少数点を切り捨て・切り上げをしています。
スーパーアトム級 49.0kg以下
フライ級 57.0kg以下
バンタム級 61.0kg以下
フェザー級 66.0kg以下
ライト級 71.0kg以下
ウェルター級 77.0kg以下
ミドル級 84.0kg以下
ライトヘビー級 93.0kg以下
ヘビー級 120.0kg以下
無差別級 体重制限なし
こちらの記事にてRIZINの階級制度について詳しく解説しました。
MMAはリング?ケージ?
MMAでは「UFC」を始めとする様々な団体が、八角形の「オクタゴン」と呼ばれる金網(ケージ)で試合をします。
しかし、RIZINではほとんどの試合がキックボクシングやボクシングで使用されている「リング」で試合をします。
ケージとリングの違いを以下の表にまとめました。
メリット |
デメリット |
|
ケージ |
ストップが掛かりにくい 壁を使った攻防を楽しめる |
見づらい |
リング |
見やすい 打ち合いが増える |
選手がロープに引っかかったり、外に出る |
ケージとリングで最も大きな違いとなるのが、「見やすさ」と「試合展開」です。
ケージは金網になっているので会場に見に来ているファンからは少し見づらくなります。
リングはロープになっているので、寝技の展開を除けばかなり見やすくなります。
リングの弊害はロープ側での攻防です。
RIZINでの試合を見ると、ロープに押し込まれて身体がはみ出してしまう選手や、ロープをつかんでしまいテイクダウンを防ぐ選手など、見やすさを重視したロープによる弊害が数多く見受けられます。
基本的に寝技や組みのあるMMAではケージが向いています。
ケージとリングの違いをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
【ケージとリングの違い】MMAではケージとリングどっちが良いの?
MMAの視聴方法は?
MMAの視聴方法は団体ごとで変わります。主要団体の視聴方法は以下のようになります。
RIZIN:PPV 公式YouTube RIZIN 100 CLUB
UFC:U-NEXT
DEEP:U-NEXT
パンクラス:U-NEXT
修斗:ABEMA
ほとんどの団体はU-NEXT・ABEMAの月額プランに契約することで、ライブ配信だけでなく過去大会の視聴も可能になります、
しかし、RIZINのみ大会ごとにPPVと呼ばれる、配信チケット(5,500円)を購入する必要があります。
過去大会は公式YouTubeまたはRIZIN 100 CLUBの月額プランにて視聴可能になります。
MMAで疑問に思うこと4選
MMAの試合を見ると1度は疑問に思うことを4つ解説します。
RIZINの判定基準
RIZINの判定基準は他団体と大きく異なる「トーマルマスト」が採用されています。
トータルマストはラウンドマストの1R毎に採点する方式とは異なり、3R全てを通してジャッジが採点する方式になります。
つまり、1.2Rを取られていても3Rに一発逆転のチャンスが起こりうるのです。
また、RIZINでは採点基準が
ダメージ50% アグレッシブネス30% ジェネラル20%
以上のようになっています。
ダウンや極め技で試合終了ギリギリの場面を作ると、ダメージの50%が入り、試合全体を通して積極的に攻撃を出している選手にアグレッシブネス30%が入ります。
以上の2つは試合によっては必ずしも採点されるわけではありませんが、ジェネラルシップは必ず採点されることになります。
ジェネラルシップは「試合の支配」している選手に入ります。
スタンドでパンチを入れている選手や、消極的ながらもテイクダウンを奪い、グラウンドで相手をコントロールしている選手などに、ジェネラルシップの20点が採点されます。
このジェネラルシップが非常に分かりづらく、RIZINの判定は賛否が分かれる原因になっています。
ストライカーとグラップラーはどっちが有利?
現代MMAでは「ストライカー」や「グラップラー」という概念が消えつつあり
どちらも出来ていることが前提で、レスリング・グラウンドディフェンスを身に付けた選手が勝ち上がっています。
MMAデビュー戦のキックボクサーと柔術家・レスラーがMMAで戦うと仮定するなら、MMAの競技性を鑑みても「グラップラー」が有利にはなりますが、MMAという競技で戦う場合は、打撃・寝技どちらのスタイルで行くにしても、「レスリング力」が圧倒的に大切になります。
中村倫也や太田忍と言ったレスリングエリートが、短い期間でMMAで結果を残していることからも、レスリングの重要性が理解できます。
引き込みは判定に不利?
近年話題になっている、相手の胴体に飛びつき、クローズドガードポジションを作る「引き込み」ですが、結論から言いますと、基本的に判定に不利です。
MMAの採点基準の「ジェネラルシップ」に影響するからです。
引き込みは自ら下になり、相手に上のポジションを譲る形になるので
MMAのルール上、グラウンドでコントロールされていると見なされます。
朝倉未来vs牛久絢太郎にて、牛久選手が執拗に引き込みをしたことで話題になっていますが、引き込みをする場合、基本的にスイープ(相手を返す)または、1本を取らない限り、相手に上を取られ、パウンドを打たれるので判定では圧倒的に不利になります。
基本的に引き込みは、下からの極めに圧倒的に自信を持ち、判定決着を考えていない選手が使用します。
キャッチウェイトとは
格闘技では68.0kg契約などのフェザー級でもライト級でもない契約体重で試合が行われることが頻繁にあります。
なぜ、このようなキャッチウェイトで試合が組まれるのか。
以下のような原因があると考えられています。
①計量当日に契約体重を守れなかった
②試合間隔が短く体重調整が難しい
③急遽試合が決まった場合
①片方の選手が計量当日に規定の体重をクリアできなかった場合、66.3kg契約などのように契約体重が変更になる場合があります。
これは、計量をクリアした選手が合意した場合のみ成立します。
②前回の試合から期間があまり空いていない場合はキャッチウェイトになることが多いです。
朝倉未来選手は2020年の11月終盤に66.0kgで試合をし、2020年大晦日にも試合オファーが来たため、68.0kg契約で試合をしています。
これは水抜きによる腎臓などの内臓への負担を考慮しているためです。
③直前のオファーや急遽対戦カードが変更した場合は減量も難しいため、キャッチウェイトになることがほとんどです。
鈴木千裕vsパトリシオ・ピットブルの試合では試合1週間前のオファーだったため、両者の適正66.0kgから70.0kg契約で試合をしています。
まとめ
今回はMMAについて徹底解説しました。
MMAは何でもありの格闘技なので、非常に迫力のある試合展開も多く、埼玉スーパーアリーナと言った2万人規模での会場で大会が開かれることも少なくありません。
MMAのルールや団体、選手について知っておくことで、さらにMMAを楽しむことができます。
当サイトでは選手情報についても詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
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